舞う桜と歌うお兄さん、そして踊る海と月
はじめに
この記事はぽっぽアドベント参加記事です。今年も開催されるということでわくわくエントリーしました!18日目の「2つ目」を担当しているあいはらです。テーマは「変わった/変わらなかったこと」。
はとちゃん主催ありがとう!毎日色とりどりの記事がアップされるのを楽しみに過ごしています。
わたしの変わった日々
個人的なイシューとしては、今年の頭と現在で大きく変わったことはとりあえず「失業した」ってことだ。数カ月前、勤めていた会社がたたまれることとなりあっけなく職を失った。
勤務先は韓国系企業で、COVID-19感染拡大に伴う入国制限やその他諸々の影響をもろに受けたのだ。まぁ小さな会社だったし社長がビジネス感覚をまるで持ち合わせてないかなりぶっ飛んだひとだったので経営は以前から危うく、ぶっちゃけ寿命が早まっただけという気もする。長らく「もーーー絶対辞めたる」と心の中で呪詛を吐き続けてもいた。けどやりたい仕事だったし、コロナ禍がなければもうちょっと何とかなっていたはずなので、やはり残念に思う。会社をたたむための手続きアレコレも大変にストレスフルだった。今は次の就職口を探しているところだ。
韓国語が必要になるようなお仕事の求人は去年までに比べるとだいぶ減っていて、先の見えなさにたま~に不安になる。わたしは今後どのように生きていったらいいんだろう……的なことを考えて無性に焦ったり落ち込んだりする日もある。けどわたしときたらたいへん有能な人間なのでそのうち良い働き口なり突破口なりが見つかるはずだ。そう信じているのでそこまで悲観的にはならずにいられております。ここ数年のあいだに自己肯定感を爆上げしといて本当によかったな。
良い方向に変わったこともある。外出自粛期間中、近所を散歩するようになった。今の居住エリアに住んでもう10年以上経つけれど、最寄り駅やスーパー以外の方向に足を向けたことはあまりなかった。さわやかな風の抜ける遊歩道を見つけたり、小さな池で綺麗なサギに出会ったり、それまで空白だらけだった脳内のご近所マップがどんどん埋まっていくのは面白い体験だった。最近も天気が良い日はその脳内マップをひろげ、気の向くままに歩いている。
普段は直進する道を曲がって少し歩いた先に公園があって、春先はよくそこに通った。広場の片隅には桜の木が植わっていて、ちょうど満開だった。夕陽に染まった花びらが風に舞う様子はとても美しく、毎日木の前にぼーっと佇んでそれを眺めていた。とても静かで、穏やかで、あまりにちぐはぐな時間だった。
元々桜をゆっくり眺める機会なんてそんなに多くはなかった。通勤の途中で「咲いてるな」と思うくらいで、週末を1、2回過ぎればもう見ごろは過ぎている。平日の夕方に、むせかえるような満開の桜を毎日眺める日々は、わたしにとって間違いなく「普通でない日々」だったのだ。世界中の人々の命と健康が危険にさらされ、日常がひっくり返り、スマートフォンをひらくと心が押しつぶされそうなニュースがひっきりなしに更新されていた。
それでも桜はとても美しかった。
一方、変わらなかったことはたくさんある。世界がどうなろうがわたしという人間はそう簡単には変化しない。相変わらず休みの日には昼まで寝るし、チョコレートとミルクティーが好きで、韓国語の習得を目指してもがいており、SUPER JUNIORを推している。
変わらない推しの変化と不変
SUPER JUNIOR(通称「スジュ」)は韓国のアイドルグループで、今年でデビュー15周年を迎えためっちゃベテランお兄さんたちだ。大手事務所であるSMエンターテインメントに所属し、現在9名で活動している。
そもそもすじゅを推しはじめたのは5年ほど前。途中しばらく離れていた時期があり*1、改めて推すようになったのは昨年8月に東京ドームで開催されたSMTOWN LIVE(以下SMT)のライブビューイングがきっかけだった。
SMTについて軽く説明すると、SMエンターテインメントの所属アーティストが一堂に集結するお祭り的なコンサートだ。ユニットやコラボステージなどを除くと各グループの持ち時間は15〜20分くらいで、内容は持ち歌を3、4曲と自己紹介程度の短いMC。色んなグループが集まる分、観客も多様なファンダムから集結している。なのでアーティストも観客も互いを称えあいながら進行される雰囲気があるというか、交代でパフォーマンスが行われ次の走者にさわやかにバトンが渡されていく、基本的にはそういう空間だ。
ところがコンサート終盤に登場したスーパージュニアのステージは、ちょっと様子が違っていた。特に3DAYSの2日目、2019年8月4日の公演は、ライビュで観ていても何というか……、一言でいうと異様だった。
まずは格好よく持ち歌2曲を披露した彼らは、MCが始まると「今日は時間に余裕があるそうなので、ぼくらMCをめ〜っちゃ長くやります!こっからはスーパージュニアのトークショーで〜す!!」と宣言した。そしてその宣言通り、本当にめ〜〜〜っちゃ長くステージに居座った。後で正確な時間を知ったがこのときのMCもといトークショーはなんと13分半にも及んだらしい。13分半!!ほとんど持ち時間とどっこいやないか。
内容もカオスの極みで、文字でどこまで伝えられるか自信はないけど一応書き出してみると……。
ほかのメンバーのコメント中にもカメラに映りたがる、発言にいちいち茶々を入れる、「僕は皆さんの永遠の馬」というお決まりの自己紹介(お決まりなんです、チェ・シウォンさんのことです)が飛び出すや隣で馬のいななきを声真似する、シウォンさんが喋ってるあいだ複数のメンバーが馬のポーズでパッカパッカと画面を横切る、マンネ*2がステージに膝をついて会場の歓声をあおる、ヒョンたち*3がそれをさえぎって前にしゃしゃり出る、リーダーは謎の節と踊りのようなものをつけた挨拶を延々繰り返し、その間ほかのメンバーは落ち着きなくステージをうろつき回り、ハハハと笑いながら駆け出したかと思うと、メンバー同士で絡み、耳打ちをし、ハグをし、何やらウケてバシバシ叩きあい、ちょっとたしなめられ、それでもうろつき回り、一部メンバーはそれを虚無顔で眺め……。
めちゃくちゃ自由!!!そしてこれ、めっちゃくちゃスパショ(SUPER JUNIORの単独コンサートSUPER SHOWシリーズの略称)!!!!
その日のSMTは、その瞬間だけ完全にスーパージュニア・オンステージ。スパショだった。これ他のアーティストのファンのみなさんは大丈夫なのか!?という心配がよぎりつつ、もうめちゃくちゃにおかしくって口をあんぐりしながら笑いっぱなしになってしまった。会場もライビュの映画館も爆笑していたので大丈夫だったんだろう、たぶん!そして狂乱の13分半が終わった後、SMオタクなら全員知っているであろう*4ドドド特大ヒット名曲SORRY, SORRYがドカンとぶちかまされたのである。
SUPER JUNIOR 슈퍼주니어 '쏘리 쏘리 (SORRY, SORRY)' MV
♪ダンダンダンダダンダンダダンダン♪のアレ。
ぼーぜん。
さっきまでどっかんどっかん客席のウケをかっさらい自分たちもハチャメチャに笑い転げていた30オーバーお兄さんたちが、次の瞬間バッチバチのキメ顔になり最強の持ち歌をぶちこんで観客のボルテージをブチ上げしにきたのだ。強すぎる。
このハチャメチャなグループ、ヤバい。ハチャメチャで破天荒でぶっ飛んでいてとんでもなく貫禄があり、めちゃくちゃ格好いい。最高だ。最高のエンターテイナーだ!!
わたしの人生にすじゅがカムバックした瞬間だった。
わたしの人生に今足りないものはすぱしょ はっきりわかった
— あいはら 아이하라 (@ai_harari) 2019年8月4日
なおSMTの映像の代わりにこちらを紹介します、ファンメイド動画なのですがとりあえず冒頭の4分半を見てほしい。すじゅのお兄さんたちがステージでどのように遊ぶのかってことがよく分かります。
母国語の通じない、海外のステージでこの遊びっぷりですよ!!すごい。つくづくたくましいと思う。
(脱退したメンバーなども含まれるためこの動画を紹介したものか迷いましたが、すじゅの"現場"の空気がめちゃくちゃ伝わってきてどうにも好きなので貼ります。)
ともあれこのようにしてえるぷ(SUPER JUNIORのファンの名称。Ever Lasting Friends略してE.L.F)として再覚醒したわたしは、その勢いでその年の10月には韓国までスパショを観に飛んで推しふたり組であるうねちゃん(メンバーのドンヘとウニョクふたりのペアについて「ウネ」という本人たち公認の呼び名があるのですが、わたしは彼らをひとかたまりとして「うねちゃん」と呼んでおります)がファンとメンバーに見守られるなか即席の結婚式を挙げるのを目撃*5して滂沱の涙を流し、翌月には同じくスパショの埼玉公演に駆けつけ、今年に入ってからも大阪公演に参加、さらに韓国でメンバーキュヒョンのミュージカルを観て3月末にはまた埼玉で追加公演に……のはずだったのだけど、実現できたのは2月頭の大阪公演まで。パンデミックにより渡韓断念、来日公演は中止となった。
ハマり直した途端にカムバ*6やらコンサートツアーやら怒涛の供給があり、そうだアイドル推すのってこんなに忙しかったんだ〜!ともみくちゃになりながら走ってきたので、それらが急に途切れたのには結構がっくりきた。会いに行けたり会いに来てくれたりするのって本当に特別なことだったんだな。
一方で、お兄さんたちはポストコロナ時代のアイドル活動にも素早く適応した。5月にスパショのオンライン版を開催して大成功を収めると、その後も各種イベントやファンミーティングなど、いくつものオンタクト公演(オンラインでコンタクトする公演、つまりオンラインライブのこと)に出演してファンに姿を見せてくれた。
オンラインライブは最初のうちは観るほうとしても手探りだったけど、コンディションに不安があっても参加できるしコンサート会場に行けないひとも家で観られるし、良いシステムだと思う。現場でのコンサートが再開される日が来ても公演方法のひとつとして残ってほしいと思ってる。演出などももっと洗練されていくだろう。
オンタクト公演で特に印象に残っているのは、8月に行われたa-nationだ。日本のエイベックス主催のフェスで、お兄さんたちは韓国から、一応生放送っぽい体だったものの実際には映像を事前収録しての参加だった。あらかじめそのことを知っていたので、推しの新規映像が観られればいいや~程度の心構えだった。つまりナメていたのだ。お兄さんたちごめん。
はたしてその日のお兄さんたちの30分程度のパフォーマンスときたら、それはもう……「ライブ」そのものだった。気迫、熱量、カリスマ性、そして遊び。スパショだ!!!画面の向こうから押し寄せてきたものは完全にスパショの空気だった。わたしは気がついたらおいおい泣いていた。
リモートのしかも事前収録なのに、一体何がどうして「ライブ」だと感じさせたのか、どうしてそんなことが可能だったのか……その辺はぶっちゃけ未だによく分からない。分からないがひとつ言えるのは、そこに「楽しい!」の感覚があったということだ。
そもそもスーパージュニアは「現場に強い」アイドルだ。国内外のフェスやイベントの出演回数は数えきれず、SUPER SHOWシリーズはこれまで世界中を回りながら150公演以上を重ね、中にはK-POPアーティストとして単独公演が行われるのは史上初という国や地域もたくさんあった*7。近年のスパショはメンバー自身が演出を担当している。つまりホームもアウェーもありとあらゆるシチュエーションにおけるパフォーマンスをこなし、「ライブ」の肝を知り尽くしてきたひとたちなのだ。
そんなお兄さんのライブの特徴は何と言ってもそのハチャメチャさ、そして楽しさにある。
歌もダンスももちろんめちゃくちゃに格好いいのだけれど、何よりも観客を盛り上げ、笑わせ、楽しませるのが抜群にうまい。ときには振り付けを完璧に披露することよりその場で自由にふるまうことを優先し、いつのまにやら遊び出し、メンバー同士で笑い合い、ステージの上から「楽しい!」の空気を広げて観客をその渦に巻き込んでいく。
リーダーのイトゥク(通称トゥギひょん)がステージを「遊び場」と表現していたけれど、まさにその言葉がぴったりだ。東京ドームも彼らにかかればちょっと広めの遊び場。笑い転げ、涙を流しながら、ステージで起こるすべてのことを観客と共有しようとする。世界のどこに行ってもそうやってその場を自分たちの「遊び場」にしてしまえる。それがスーパージュニアのエンターテイナーとしての強靭さなのだと思う。
そしてその「楽しい!」の感覚を、お兄さんたちはオンライン空間でも表現してみせたのだ。無観客だって、離れていたって、生中継ですらなくたってそれを実現してみせた。お兄さんたちには本当に驚かされてばかりだ。特にDevilという曲のときは推しのドンヘくんが最初から最後までずーっと楽しそうに笑っていて、その美しい笑顔が涙でにじんでまるで夢まぼろしのようだった。終わったあとに「夢のようだった」という感触が残るところまでなんだかライブっぽかった。
観客としてのわたしはそんな風にハッピーだったので、彼ら自身にとって無観客でのパフォーマンスは想像以上に厳しいものなのだと知ったときは胸をつかれた。
夏にSUPER JUNIOR - D&Eとしてカムバしたうねちゃん(二人でユニット活動しているんです、推しのふたり組が!しあわせでしょう。これは自慢です)がビハインドで、「観客がいないとエネルギーを受け取れない」「本来は歓声が盛り上がるポイントがあればそこを強調したり力加減を計算できるけど、観客がいないと最初から最後までひたすら必死にやるしかない」と話していたのだ。楽屋での内輪の会話という雰囲気だったから、よりストレートな本音として伝わってきた。観客のまなざしや声援なしにパフォーマンスすることは、精神的にも体力的にも想像以上に過酷なことなのだろう。
この不安に包まれてばかりの一年、わたしはお兄さんたちの笑顔を楽しみに乗り切ってきたけど、彼らに対してわたしたちが力を送る方法は何があるだろう。手紙を書くことくらいしか思いつかなくてふがいない。
特に2020年はすじゅにとってアニバーサリーイヤー。本当はたくさんのイベントやツアーが計画されていた(らしい)。それもすべて仕切り直しになってしまった。このタイミングでの足止めはどれだけくやしかっただろうと想像する。
韓国アイドル界において、活動期間15年というのはめちゃくちゃな長寿だ。メンバー全員30代になってなおコンスタントに新曲を発表し活動し続けている男性アイドルグループはまだまだ前例が少ない。最近トゥギひょんが「いつまでこうしていられるか」的なことを言っていたりもして、そういう話が出てくるのはとても悲しいけれど、理解もできてしまう。考えたくはないけれど、もしかして"リミット"のようなものが迫ってきているのだろうか……。
15周年記念の新曲「우리에게 (The Melody/ぼくらへ) 」は、そんな中で発表された。
SUPER JUNIOR 슈퍼주니어 '우리에게 (The Melody)' MV
日本語字幕が出せるのでぜひ読みながら聴いてほしい。作詞にトゥギひょんとメインボーカルのイェソン氏が参加している。拙訳もリンクしておきます。
デビュー記念日の11月6日にこの曲が発表され、聴きながら涙が止まらなくなってしまった。泣いてばっかりだな。15周年記念ソングと聞いたときはてっきり「ファンのみなさんありがとうソング」とばかり思っていたのに全然違った。お兄さんたちはまたまたこちらの予想を飛び越えていったのだ。歌詞を引用する。
似てるところなんてひとつもなかったぼくらが出会い
瞬間ではなく永遠を歌っていた夜
熱かったあの声を憶えてる?
君とぼくだけが知っている この歌を
ぼくらのはじまりだった
あのときのMelodyを
そう、これは15年という長く長い時間を共にしてきた、メンバー同士に宛てた歌だったのだ。
15年前、いやそれよりもっと前の、彼らだけが知っている「あの夜」、「あのメロディ」についての歌。わたしたちには知りようのない出会いと時間、たくさんの日々と歌声を、確かに彼らは共有している。その記憶を取りだして確かめあう。ファンのためでも、「スーパージュニア」というグループのためですらない、これはスーパージュニアの名のもとに共に歩んできた彼ら自身のための歌なのだ。
特にこの部分がすごい。
憶えておいて
昨日よりもたくさんの明日を
ぼくらは共にするだろう
君と一緒なら歌うよ
目の前にきらめく
青い星と共に
15年も一緒にやってきて「これからの日々のほうがもっと多い」と歌えてしまう、この強さ。誰のためでもなく「きみ」と一緒なら歌うと言う彼らが、並んで見つめる先に、わたしたちファンのかざす青いペンライトの光がある。
彼らはまだスーパージュニアとしてそこにいつづけることを選んでくれたのだ。そしてそこにスーパージュニアがいるなら、わたしたちは彼らを青い光で照らすだろう。
お兄さんたちが歌いたい限り、ステージに立ちたいと思う限り、そこにいてくれればそれでいい。わたしは彼らが選んだ道を花で飾ろう、彼らが笑顔で歩いていけるように。それがきっとファンとしてできる最善にしてすべてなのだ。
*
……とはいえ、何の引っかかりもなく推し活しているわけでもなく、ときどきお兄さんたちの搭載してる価値観が2020年最新バージョンではないのを感じて不安になることもある。本人たちが気をつけてるのも伝わってくるけど、たまにアプデ間に合ってない感がある。推しが꼰대(コンデ:時代に取り残された有害おっさんを指す言葉)化することほど恐ろしいことはない。
いつまでも変わらず可笑しく楽しいお兄さんたちでいるために、常に変わり続けていってほしい。逆説的なようだけど必要なことだ。お兄さんたちならできるはず。そう信じてるよ。
おまけ
それでは最後に、本文中に出てきたうねちゃんことSUPER JUNIOR - D&Eの今年のカムバコンテンツの内最も愛した動画、MUPLYさんのKnockKnockKnockを貼っておきますね!!*8
[4K] 슈퍼주니어-D&E 가 뮤플리에 떴다 🌟동해&은혁🌟ㅣB.A.D → 머리부터 발끝까지 → 땡겨ㅣ낰낰낰
この動画の何が素晴らしいって、シンプルで最高に見やすいカメラワークはもちろんのことなんと、なんと!足音が入っているんですよ!!!足音!足音ですよ!!!通常は拾われない現場の雑音がそのまま生かされているんです。初めて見たときはもう……泣きましたね!だって足音が聞こえるんですよ!??推しが地面を踏んで躍動している、その音が!!生きてる!!!推しがめっちゃ生きてる!!!
さらに何度か見ていてヤバいことに気付いたんですけど、うねちゃん各自の発する足音が全然違うんですよ……!だまされたと思って聞いてみてください。
わたしの推しのドンヘさんは一曲目でゼブラ柄のシャツを着てる方なんですけど、彼はかなり大きな足音を立てて踊るんですね。動くたびに靴底が擦れてキュッキュいうし、足を引く振り付けのときなんかわざと響かせてるんか?と思うくらいギューッ!と鳴ってる。ところがドンヘくんとダンサーさんが動きを止めヒョクちゃん(芸名ウニョク、本名ヒョクチェさん)が一人でステップを踏み始めると……無音。ピタッと音がやむんです!!え……ぞっとしませんか???もちろん靴底の素材により鳴りやすいにくいあるでしょうけど、それにしたってあまりに対照的。ヒョクちゃんは足音をまったく立てないんです。
うねちゃんはですね、魂の双子なのですが、彼らの踊りってまるで異なるベクトルを向いてるんですよね。ダンスのこと詳しく分からないんですべて感覚的なあれなんですけど、ドンヘくんのダンスは重力を利用する踊り、ヒョクちゃんのダンスは重力に縛られない踊りって感じがします。
ドンヘくんはよく「腰で踊ってる」と言われるんですが、重心を下において筋肉の重量を活かし、自己流にアレンジしまくった大胆でダイナミックな踊り方をします。対してヒョクちゃんは指先まで神経を張り巡らせて宙に伸び上がるような、動きのラインがとても繊細で美しいダンスをします。*9
このようにまるで性質の異なるダンスを踊るふたりなのに、彼らにはなぜか「このひとの隣に並び立つのは彼しかいない」という強烈な説得力があるんですね。正反対のもの同士が生み出す磁場のようなものがそこにはある。うねちゃんが狛犬のようにすじゅのセンター両脇に構えた瞬間、その磁場が「個性が個性のままぶつかり合い共存している」すじゅのグループとしてのアイデンティティを鮮やかに浮かび上がらせるんです。
ドンヘくんの名前は海を意味し、ヒョクちゃんは自分のことを月に例えていますが*10、ふたりはまさに海と月のようだと思います。
月が海におおわれた地球の重力に引っ張られているように、海が月のうごきによって満ち引きを繰り返すように、彼らは違うもの同士として共鳴しあい、お互いを引きつけあっているんですね……。
おわりに
SUPER JUNIORは来年1月にカムバック予定で今ガンガン新コンテンツが出てきてる最中です!デビュー15年そしてこれから、現在進行形の軌跡を目に焼き付けたいと思います。
SUPER JUNIOR The 10th Album #2 ‘Burn The Floor’ Performance Video
そしてぽっぽアドベントはまだまだ続きます!明日のご担当はとばをさん、コットンさん、林檎野めだまさんです。
それではみなさん、健康にお気をつけてハッピーなクリスマスをお過ごしください!
*1:主に徴兵制と向き合うのがあまりにしんどくて精神がズタボロになってしまったので遠ざかっていた。
*2:一番年下のメンバーのこと。すじゅのマンネはキュヒョン。
*3:年下男性にとっての年上男性のことを「お兄ちゃん」という意味で「ヒョン」という。ちなみにこのときしゃしゃったキュヒョンのヒョンたちは、ドンヘとウニョクとシウォンとイェソンあたり……多いな!
*4:ちょっと盛ったがSMに限らずあらゆる後輩グループにカバーされてきているので多分みんな知っている……はずだ!
*5:この結婚式の模様はSUPER SHOW8ソウル公演のソフトに収録されているので是非観てほしい。円盤じゃなくてキノビデオという形態でしか出てないのでちょっととっつきにくいかもしれないけど……。「僕ら付き合ってます!」という交際宣言も聞けます。
*6:新曲リリースとそれに伴う音楽番組出演などの活動を行うこと。カムバック。
*7:昨年はサウジアラビアで韓国アーティスト初公演を行ったが、そもそも会場がなくてスパショのために砂漠のど真ん中にコンサート会場が建設されたらしい。スケールが違うぜ。
*8:ちなみにここで披露してる3曲とも天才作曲家ことドンヘ氏が作詞作曲してます!推し、多才なんです……へへへ。
*9:そのヒョクちゃんのダンスにドンヘくんがあこがれているのもエモポイント。
*10:エイプリルフールにTwitterのアイコンと名前を月(韓国語の「お月様」の英語表記)に変えて「あんにょん僕はお月様だよ」となりきりツイートして以来何年もそのままなんです、かわいいでしょう。